「はいよろこんで」MV、あの独特な雰囲気、どこか懐かしくないですか?
まるで昭和のアニメから飛び出してきたような映像美に釘付けになった人も多いはず。
正直、私は新聞の四コマ漫画「コボちゃん」を思い出してしまいました。
「はいよろこんで」のMVは、実際のところ昭和アニメなのでしょうか?
今回は、このMVの魅力を深堀して、昭和のアニメと感じる理由についても言語化してみます。
Contents
はいよろこんでMVは昭和のアニメ?
「はいよろこんで」のMVは、昭和のアニメではなく、かねひさ和哉さんの現在アートの作品です。
かねひさ和哉さんが昭和のアニメーションに深い造詣があるため、昭和アニメとの共通点がたくさんあります。
しかし、かねひさ和哉さんは『そのままでは時代にそぐわない』とも言っていて、現代の技術の使ってオマージュしているとインタビューで語っていました。
そうはいっても、現代アートといえども、昭和っぽい懐かしい雰囲気が感じられますよね。
昭和のアニメに感じられる点や、現代アニメだと言える理由はどこにあるのでしょうか?
昭和アニメとの共通点を探る
「はいよろこんで」のMVは、パステル調の色使いやキャラクターのデザイン、ノスタルジックな雰囲気や動きなど、多くの要素で昭和アニメとの共通点が見られます。
かねひさ和哉さんは、昭和のアニメーション技術を使っているのかなと思って調べたところ、作業も昭和のような泥臭いものでしたのでご紹介します。
正直、めちゃくちゃ力業で、作業まで昭和だった!
セル画のような質感を作る
1つのアニメーションを作るのに、500枚から700枚の絵を1人で描いているそうです。(インタビューより)
現代はCGが主流ですが、まさかのパラパラ漫画…!
大量に描いた絵を映像にして、さらにフィルム風の処理を載せるために、映写機やフィルムを使って、調整作業を行います。
「はいよろこんで」のMVではあえてセル画のような質感を出すように調整しているとのことでした。
昭和に似せていくといわけではなく、実際に昭和の機材を使って制作しているんです。
シンプルな線絵と背景の描きこみ
キャラクターの輪郭は、極端に太くも細くもなく、どこか懐かしい印象を与えます。
また、背景には、細かな描写が施されており、まるで絵画を見ているような感覚になります。
たとえば、昭和30年なら昭和30年の風景がを用い、昭和50年なら昭和50年の風景がを用いるといった細かい配慮がされています。
「はいよころんで」のMVで、0:24~0:27を見てみると、写真レベルにリアルに昭和の風景が描かれていました!
かねひさ和哉さん自身も、「昭和は64年もあるので、一言でレトロとまとめることは違和感ある」とおっしゃっています。
細かい設定によって、昭和アニメに慣れ親しんだ世代にとっては、実際に体験したことがあるものとして、懐かしさを感じさせるんだと思います。
現代的な要素との融合
一方で、「はいよろこんで」のMVは、昭和のアニメの要素だけでなく、現代的な要素も数多く取り入れています。
ここでは、かねひさ和哉さんのインタビューや、実際の「はいよろこんで」のMVからわかる特徴を抜き出してみました。
音楽との融合
音楽とあっている映像の動きについて、いくつか列挙してみました。
- 歌詞を歌っているフレーズに合わせて絵を転換する
- カッカッカッカッとリズムに合わせてクローズアップさせる
- テンポに合わせて背景が高速で移動する。
- キャラクターが背景の中に飛び込んでいくような表現が使われている可能性があります。
- なんかずっとゆらゆらしてて、見てて感情が不安定なったり気持ち悪くなったり…
歌詞どおり、なんか揺れに酔ってきてしまって…。
見ているこっちの気分がSOSになりそうなところまで融合しているなぁと感じました。
快速なカット切り替えやダイナミックな背景の移動
速度を出せるのは現代技術ならではのものです。
例えば、現代はだいたいのパソコンやswitchなどの家庭用ゲームでは、60fpsが主流です。
昭和のアニメを放映する昔の日本等のテレビ放送自体が30フレーム/秒でした。
撮影用となると、かねひさ和哉さんが愛用の、8mmフィルムでは18コマ/秒などもっと少なくなります。
つまり、「はいよろこんで」のMVにもみられる軽快な場面転換や、早い音楽のテンポに合わせたアニメーションになっているのは現代技術を用いているからといえます。
はいよろこんでMVのアニメはコボちゃんに似てるって本当?
「はいよろこんで」のMVのアニメがコボちゃんに似てるのは本当です。
かねひさ和哉さん自身が、インタビューで昭和のアニメをめちゃくちゃリスペクトしているし、描き方などもめちゃくちゃ研究していると語っているからです。
昭和のアニメをオマージュすべく、その研究成果を実際に「はいよろこんで」のMVで活用しています。
では、なぜコボちゃんに似ていると感じられるのか、その理由をもう少し深堀りしてみましょう。
コボちゃんと似ている点
「はいよろこんで」のMVとコボちゃんが似ている点について列挙しました。
- セル画の質感とシンプルな線画: かねひささんの作品もコボちゃんも、セル画のような温かみのある質感と、シンプルで覚えやすいキャラクターの線画が特徴です。
- 日常の風景とユーモア: 両作品とも、日常の何気ない風景を舞台に、ユーモアあふれるストーリーが展開されます。特に、キャラクターの表情や仕草に注目すると、よくオマージュしているなと思います。
- 昭和の雰囲気: 昭和の時代を意識した背景や小道具が登場することが多く、コボちゃんも昭和の子供たちの生活を描いています。
このような視点で見てみると、細かいところまで似ている気がします。
例えば…
- 作品の丸みを帯びたキャラクターデザインが似てるな~
- このもうダメなときの表情はコボちゃんでも同じように描かれていたぞ
- 絵の中で用いられる布団や背景に描かれる土壁のマークが見たことあるぞ
などなど。
色使いも、1:28は「のび太の服の色…?」というようなちょっと違うアニメですが、良く使われるパステルカラーを使われているのがわかります。
コボちゃんとは違う点
「はいよろこんで」のMVとコボちゃんでは全然似ていないところもあったので、パクリではなくオマージュだと思った部分を列挙します。
まず、コボちゃんは日常の出来事をコミカルに描く作品でした。
幼い私にとっては、新聞は難しいことばかり書いてあって、心の底からくすっとわかることが、コボちゃんの漫画でした。
でも、かねひささんの作品は、コボちゃんに親しんだ子供が大人になって社会にもまれた時に初めてわかる辛さみたいなものを表現されていました。
コボちゃんにそんな挫傷のような感情は湧かなかった…と思いました。
まとめ
「はいよろこんで」のMVはコボちゃんのアニメっぽいけど昭和のアニメなのかについて深堀しました。
回答は、昭和アニメの技術をこよなく愛するかねひさ和哉さんによるオマージュであり、立派な現代作品であることをお伝えしました。
かねひさ和哉さんの作品がコボちゃんに似ているのは、昭和のアニメへの深い愛情と、それを現代の表現技法で再構築しようとする作者の意図が反映されているからです。
しかし、「はいよろこんで」のMVとコボちゃんは異なる時代やテーマ、表現技法を持つ作品であり、それぞれに魅力があります。
すっきりしていただけたら幸いです!
※引用元1:インタビュー:(『Yahoo!ニュース『はいよろこんで』MV制作で話題! アニメーション作家・かねひさ和哉の創作の原点』、2024/8/23(金) 12:02配信)
※引用元2:楽曲:こっちのけんと『はいよろこんで』